栽培方法
ここで紹介しますカトレアの栽培方法は、私の経験などから栽培のコツや注意点とかを簡単にご紹介します。なお、栽培方法の詳細は、育てる場所などの環境により左右されますので、標準的な栽培方法は各文献が販売され詳しく掲載されていますので、そちらを参考に栽培にチャレンジ下さい。
                            
花壇ではチューリップが咲いています
カトレア属は南米を中心に自生し、樹木・枝を好み着生する根は常に空気に触れ、新鮮な空気と空中の水分を吸収しています。カトレアの品種名や変種名又は色彩表現から名付けたものが多く、同じような意味でも微妙に表現が違い、「学名」はギリシャ語やラテン語がその語源になっています。品種名などの表現は南米と日本とで大きな違いがあります。日本や中国では、東洋的な繊細で美しい言葉を用いて表現しますが、南米はかなり露骨な表現が多い。例えば「carnea(カーネア)」は「肉食」の意味、「batata(バタータ)」は「さつまいもの赤紫色」を意味、「sanguinea(サンギネア)」は「血液」の意味、「venosa(ヴェノーサ)」は「血管」の意味等とぞっとする表現もある。これはやはり国民性の違いでしょうか。栽培のコツですが、原種のワルケリアナは夏場は少し乾燥気味に育てるなど、温度や潅水等で少々癖があるものもあります。しかし、交配種に至っては、何世代に渡り交配が繰り返され、素人でも育て易く改良されています。

植え込み材料
素焼き鉢を使用し、コンポストはミズゴケが一般的な植え方です。鉢は株よりも幾分小さめのものを使用し、ミズゴケは硬めに植えた方が鉢内の乾湿のメリハリが良くなります。
2年くらい経つと、ミズゴケが古くなってきたり、コケが生えてきたりしますので、新しい鉢を使用して新鮮なミズゴケで植え替えてやります。
最近はコンポストにバークを使用しているのを見かけますが、バークは乾燥が早いのでプラスチックの鉢を使用します。
温度 冬場の最低温度は10〜15ですが、乾燥気味にすると5℃くらいの温度でも越冬可能(開花時期は遅れる)です。夏場は45%程度の遮光をし、通風を良くしてやります。最高温度も35以下になるようにしてやります。遮光材は、シルバー(黒は熱を吸収し易い)のものが良く、株から出来るだけ離して通風を良くして下さい。
遮光 (温室が無い場合)
秋〜春の太陽は南側に傾きますので、朝から夕方までは、南側レースカーテン越しの明るいところに置いてります。反対に夜の窓辺は冷えてきますので、部屋の中心に移動します。温風ヒーターやエアコンの風が当たる所は乾燥が激しいので避けます。(ワーディアンケースに入れると湿度が保てます)

(温室がある場合)
秋(秋雨には当てないようにビニールを張る)に最低温度が12℃を切る頃に温室に取り込みます。遮光は全て取り除き、二重ビニールの内張りをして保温効果を高めます。春の外気温が最低12〜15℃を切らなくなったら、外に出します。梅雨明けぐらいまでは20%くらいの遮光にして、梅雨が明けたら45%くらいにします。
(共通)

夏は、庭がある家では45%くらい遮光下(樹木の下か人口の栽培場)で育てます。マンションや団地の場合はベランダでの栽培となりますが、コンクリートの照り返しで温度が異常に高くなりますので、下にスノコや人工芝を引いたりして温度の上昇を防ぎます。遮光も50%くらいにして、高温による葉焼けや株の消耗を少なくしてやります。
潅水 冬場は極力晴れた日の午前中を選んで週1回、夏場は夕方に2日に1回(乾燥が激しい時は、毎日)程度です。潅水のコツは、コンポストが完全に乾いてから、1日置いて、株の上から潅水し植物内の温度を下げるとともに、鉢底の穴から流れ出るくらいタップリと潅水します。タップリやるとにより、潅水と同時に古い空気を外に出して新鮮な空気が鉢内に入るとこになります。(バケツに漬けたりしているものを見かけますが、病気がうつりますので厳禁です)
肥料 油かすの固形肥料を春〜初夏にかけて月に1回(鉢の大きさで肥料の個数は違います)与えます。梅雨明け以降は固形肥料を止め、液肥を2,000倍くらいに薄めて週1回潅水を兼ねてやります。液肥は、濃度の高いものを一度やるよりも、濃度の薄いものを何回もやる方が根痛みしません。株の成長が止まったら肥料も不要となりますし、かえって根痛みしますので停止します。但し、元気な株は完成したバルブの根元から新芽が出てくる時がありますので、その場合は液肥の2,000倍を週1回与えます。
病気と薬剤 風通しを良くして適度な日光に当てれば耐病性も強くなります。最近は植物への無農薬栽培が流行っていますが、どんなに栽培が上手でも病気は必ず出てきますので、予防を兼ねての消毒をお勧めします。アブラムシやダニが着くとウイルスを媒介し、大切な株を消却しなければならない羽目になります。又、ウイルス病予防の意味から使用する器具はビストロン(第三燐酸ソーダーの希釈液)で消毒するか、バーナーで焼いたものを冷ましてから使用します。植え替えの時に使用する鉢は、新しいものを使用し古いものは捨てましょう。


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