栽培方法
ここで紹介します『デンドロビュームの栽培方法は、私の経験などから栽培のコツや注意点とかを簡単にご紹介します。なお、栽培方法の詳細は、育てる場所などの環境により左右されますので、標準的な栽培方法は各文献が販売され詳しく掲載されていますので、そちらを参考に栽培にチャレンジ下さい。
                            
花壇ではチューリップが咲いています
デンドロビューム(Dendrobium)の属は東南アジアを中心に西はインドから東は日本、南はニューギニアやオーストラリアに自生し、カトレアと同じように樹上に着生しています。名は「樹」を意味するデンドロン(Dendoron)に由来しています。樹上に着生する性質を表し、樹木・枝を好み着生する根は常に空気に触れ、新鮮な空気と空中の水分を吸収しています。蘭の中でも大きい属に分類され約1600種とも言われ、色々な環境に応じ生育している。
日本には、同属のセッコクが自生しております。デンドロビュームは低温性(年中温暖な気候により、夏場はクーラー必要)の一部を除けば比較的に育てやすい初心者向けのランと言えます。
●インドネシア〜フィリピン(アジア・オセアニア・赤道付近の島々・インドネシア〜フィリピン)に自生のもの
この地域は赤道付近の気候にあたり、中温〜高温種は年中雨が降るような熱帯雨林の環境に自生しており、日本の夏でも育てやすいデンドロと言えます。冬は室内で栽培し、鉢が乾いたら潅水するような管理(休眠状態)にしてやります。一般的にデンドロビュームは、カトレアと同じで乾湿のメリハリが必要です。しかし、熱帯でもボルネオの4,000mやフィリッピンの3,000mの高山に自生するデンドロビュームは、一年中温暖な気候の雲霧林に自生しており、日本の夏は暑過ぎますので、夏は遮光を強くし風通しの良い環境をつくり育てることが必要です。以下のものは、栽培の癖や特徴がある。
アメジストグロッサム、ビクトリア・レギネ、トバレンセ、クルエンタム 大変暑さを嫌うので、遮光し通風を図る。日本では冷房設備があれば良いくらい栽培困難種である。
デアレイ、シュツィー、サンデレー カトレア風の白大輪花で美しく、花命も長く観賞価値が高い種です。大陸のバルブに毛が生えたタイプと同様、涼しい環境を作る為に株全体への潅水が効果的です。
●ニューギニアに自生のもの
5,000m級の山があり広範囲で地形が複雑な中、種類も多い。高温性のビギッバム(デンファレー)から3,000m級の地形に自生する低温性(温暖)のカスバートソニーがある。以下のものは、栽培の癖や特徴がある。
ローウェシー、ディクロマ、オブッシセパラム、クリソグロッサム 中高山地域の雲霧林に自生し、夏はやや暑がり水を好み、反対に冬は寒がる。花命は長く季節に関係無く開花が長い。楽しみの大きいグループであるが栽培にはコツがいる。
カスバートソニー、ベキシラリウス 標高が高い地域に自生する。雲霧林で年中気温が一定である。乾湿のメリハリは不要で多湿の環境、夏の暑さは嫌い、逆に冬は寒がりであるため、夏は冷房・冬は暖房による栽培が必要となる。花は株の割には巨大で色や形に変化が多く。花命は長く6ヶ月近く咲きます。
ラシアンセラ 愛好者の憧れの花でケーンタイプの巨大種、バルブが数年にわたり成長を続け、そのままにしておくと成株で3mにもなるので、途中で芯止めを行う。花はアンテナタムやグールデイーのようにぺタルがねじれ上を向く。基本色は紫褐色、リップはピンクで2〜3カ月の長期に渡り咲き続ける。
アトロビオラセウム ニューギニアと東の島、標高300〜750mに自生しています。草丈は30cmの細い棍棒状で葉を上方に2〜4枚つける。古いバルブに繰り返し3〜10輪の花を下向きにつける。有香で花期は長い。
●オーストラリアに自生のもの
栽培は他地区と全く異なり、日本とは逆の気候になり、雨季と乾季が逆で冬が雨季・夏が乾季となる。
栽培にあたり、梅雨明けから残暑の終わる頃まで雨のかからない場所において、水は与えない。(水をやると根が傷み高芽が発生し易い)           秋の涼風を感じるようになれば、和らいだ直射日光を当てながら潅水を続ける。冬になっても潅水をタップリ与え続ける。霜が降りるくらいでも平気であるが、一応凍らない程度の場所に移す。(温室に入れる必要は無い)
オーストラリアのデンドロビューム交配種には4タイプの花型がある。交配の長所は低温に強く、植え込み材料を選ばない。増殖力が強い。花付が良い。芳香がある。花が早い。多花性等が上げられる。交配の系統として、キンギアナム系のもの。テトラゴナム(星型大輪)のもの。ファルコロスラム・スペシオサム(多花性)のもの。リゾビューム(垂葉タイプの交配で珍花)
以下のものは、栽培の癖や特徴がある。
キンギアナム、リンギフォルメ、ククメリアナム 基本的には、上記の方法で花付が良くなる。キンギアナムの花付が悪く蕾みが落ちるのは水不足が原因です。リンギフォルメはその名の如く舌の形をした葉を持つ。ククメリアナムはキュウリそのものといった葉を持つ。奇妙な姿が多い。
スペシオサム(大名セツコク) 園芸店では「大名セッコク」として販売しているものです。基本的に高温性種なので花を咲かせるには冬は温度を入れたほうが良い。(大型種は、カトレアと同じ環境、小型種はデンドロビューム ノビル系と同じ管理)しかし、この種は寒さに強いので、寒さに当てながら潅水して管理する。温室に移すと、ほぼ一定の期間で開花し100〜200輪の花房は見事である。(花が咲かないのは栽培管理に誤りがある)


植え込み材料
素焼き鉢を使用し、コンポストはミズゴケが一般的な植え方です。鉢は株よりも幾分小さめのものを使用し、ミズゴケは硬めに植えた方が鉢内の乾湿のメリハリが良くなります。
2年くらい経つと、ミズゴケが古くなってきたり、コケが生えてきたりしますので、新しい鉢を使用して新鮮なミズゴケで植え替えてやります。
最近はコンポストにバークを使用しているのを見かけますが、バークは乾燥が早いのでプラスチックの鉢を使用します。
温度 冬場の最低温度は5〜15℃ですが、凍らない程度の温度でも越冬可能です。夏場は20%程度の遮光をし、通風を良くしてやります。最高温度も35℃以下になるようにしてやります。遮光材は、シルバー(黒は熱を吸収し易い)のものが良く、株から出来るだけ離して通風を良くして下さい。(カスバートソニーなど、年中温暖な気候にあるものを除く)
遮光 (温室が無い場合)
秋〜春の太陽は南側に傾きますので、朝から夕方までは、南側レースカーテン越しの明るいところに置いてります。反対に夜の窓辺は冷えてきますので、部屋の中心に移動します。温風ヒーターやエアコンの風が当たる所は乾燥が激しいので避けます。(ワーディアンケースに入れると湿度が保てます)
(温室がある場合)
秋(秋雨には当てないようにビニールを張る)に最低温度が10℃を切る頃に温室に取り込みます。(ノビル系のように、低温で花芽分化させるものは、初霜が降るまでは、屋外で乾燥気味にして栽培し、温室に取り込んでも徐々に温度を上げる)遮光は全て取り除き、二重ビニールの内張りをして保温効果を高めます。春の外気温が最低10℃を切らなくなったら、外に出します。梅雨明けぐらいまでは20%くらいの遮光にします。(カスバートソニーなど、年中温暖な気候にあるものを除く)

(共通)
夏は、庭がある家では20%くらい遮光下(樹木の下か人口の栽培場)で育てます。マンションや団地の場合はベランダでの栽培となりますが、コンクリートの照り返しで温度が異常に高くなりますので、下にスノコや人工芝を引いたりして温度の上昇を防ぎます。遮光も30〜40%くらいにして、高温による葉焼けや株の消耗を少なくしてやります。ノコを引いたりしてくらいの遮光をし、葉焼けや株の消耗を少なくしてやります。(カスバートソニーなど、年中温暖な気候にあるものを除く)
潅水 冬場は極力晴れた日の午前中を選んで週1回、夏場は夕方に2日に1回(乾燥が激しい時は、毎日)程度です。潅水のコツは、コンポストが完全に乾いてから、1日置いて、株の上から潅水し植物内の温度を下げるとともに、鉢底の穴から流れ出るくらいタップリと潅水します。タップリやるとにより、潅水と同時に古い空気を外に出して新鮮な空気が鉢内に入るとこになります。(バケツに漬けたりしているものを見かけますが、病気がうつりますので厳禁です)(カスバートソニーなど、年中湿度を好むものを除く)
肥料 油かすの固形肥料を春〜初夏にかけて月に1回(鉢の大きさで肥料の個数は違います)与えます。梅雨明け以降は固形肥料を止め、液肥を2,000倍くらいに薄めて週1回潅水を兼ねてやります。液肥は、濃度の高いものを一度やるよりも、濃度の薄いものを何回もやる方が根痛みしません。株の成長が止まったら肥料も不要となりますし、かえって根痛みしますので停止します。但し、元気な株は完成したバルブの根元から新芽が出てくる時がありますので、その場合は液肥の2,000倍を週1回与えます。
ノビル系などの花芽を分化させるものは、9月以降は、液肥も少なくしていきます。
病気と薬剤
風通しを良くして適度な日光に当てれば耐病性も強くなります。最近は植物への無農薬栽培が流行っていますが、、どんなに栽培が上手でも病気は必ず出てきますので、予防を兼ねての消毒をお勧めします。アブラムシやダニが着くとウイルスを媒介し、大切な株を消却しなければならない羽目になります。又、ウイルス病予防の意味から使用する器具はビストロン(第三燐酸ソーダーの希釈液)で消毒するか、バーナーで焼いたものを冷ましてから使用します。植え替えの時に使用する鉢は、新しいものを使用し古いものは捨てましょう。


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