ランの栽培方法            その2 花壇ではチューリップが咲いています
このページでは、ランの環境や栽培方法とかをご紹介します。

<原産地でのランの環境編>
○自然の環境に近づける
 洋ランは主に熱帯・亜熱帯に分布していますが、生息している標高は、平地から高山まで様々であり、30度を超える蒸し暑いところから、薄霜が降りるような高山にまで巾広く分布しています。日本の夏のように涼しい北海道から暑い沖縄まであるような地形では、平地でも自然環境(夏場の戸外栽培)に適した品種もおのずと決まってきます。
 しかし、温室や加温・冷房設備の発達で、それらの厳しい条件が完全ではありませんがクリアされてきています。生産業者では夏場は、高地にランを移して栽培する等により涼しい気候を好むランの成長促進を図ったり、開花期を調整したりするなどの工夫もされています。デンドロビュウムのノビル系の様に一定期間寒気に当てないと花芽の分化が促進されないランもあります。

 
寒蘭は、字の如く寒い蘭と書きます。当然、九州でも雪が積もる様な高い山に生えています。しかし、その寒い山でも北風を避ける様に山の南斜面に生息しています。エビネは比較的保水力がある杉林の谷間に生えています。
洋ランもそれぞれの環境に適した場所に生息する訳で、何処にでも生えている訳ではありません。カトレアやバンダの様に木に根がむき出しで着生するもの。パフィオペディルムやシンビジュウムの様に地生か半地生のランと、それぞれに適した環境で育っています。長い乾季もあれば雨季もあります。色々な厳しい条件に合わせて、ラン自体も進化し、環境に適した姿で生き抜いています。
 日本で育てる場合、そういった環境から隔離して育てる訳ですから、如何にランが好む自然の環境に近づけられるかが一年に一度の開花につながると思います。
 洋ランの栽培を本格的に始めて、25年近くなりますがランと毎日接していていれば、なんとなくランの気持ちが解かるようになります。そろそろ水がほしいとか、風がほしいとか・・向うから何となく話しかけてきます。たまには、こちらからも声をかける様にしています。

<置く場所(入れ物)により工夫が必要>
◎部屋の中
湿度不足を解消する為のシリンジ(霧吹き)と日照不足にならないように窓辺に置く(ランにあたる光を均等にする為、定期的に鉢毎半転します。 冬の夜の窓辺は低温になるので夜間のみ窓辺から離す)
◎ベランダ
夏場はコンクリートが熱くなるので、マットを置くなどの高温対策が必要です。逆に冬場はビニール等で防寒対策や湿度の確保が必要となる。(加温設備が無いとカトレア等は無理)夏場は日照不足になる。
◎サンルーム
冬場の二重ビニール等による保温対策や湿度(家側の防湿対策も必要)の確保が必要
◎小型の箱型温室(グリーンボックス等)
温度の急激な変化(高温・低温)に対する対策として、こまめな開閉が必要となる。一年中、片時も目が離せない。(家の中のサッシに近いところやガラス戸がある縁側なら比較的安心して置けるが戸外での管理は難しい)
◎温室
小さければ小さい程、管理が煩雑(冷え易い・暑くなり易い・狭い)になる。大きければ大きいほど管理が簡単(良い意味で、冷えるのが遅い・暑くなるのが遅い・鉢と鉢の空間が取れる)
温室の向きは、南北に長く建てる(日照が均等になり、急激な室温の変化も少なくてすむ)
また、温室にもアルミや木の温室があるが、それぞれ一長一短(耐久性・保温性等)があり、工夫により短所を克服する必要が出てきます。

<付帯設備>

◎温度を確保する加温設備
○灯油又は重油式温風ボイラー
光熱費が安く済むが、サーモのスイッチが切れたら、比較的冷え易く。また、乾燥し易いので、保温と加湿対策が必要になる。
○お湯を利用したパイプ(重油等)
サーモのスイッチが切れてもすぐに冷える等の温度の変化が少なくて保湿も確保出来るが、設備費は高くなる。
○電気温風器
設置は簡単ですが、乾燥と光熱費が高くなる。
○電熱線
設備の準備と乾燥と光熱費が高くなる。
◎換気扇
自然の空気の流れをつくる事と室温上昇防止の2つの目的があります。
○換気扇
外から新鮮な空気を取り入れる(ジャロジー等の空気取入口)と同時に温まった空気を外に出して、温度上昇の防止を図ります。(換気扇と空気取入口は、それぞれ反対方向に配置します)
外の新鮮な風を取り入れる事で、健全な株が出来ます。
○攪拌用ファン
室内に攪拌用のファンを設置して、自然の空気の流れをつくりだす。(室内に対流が起
こるように配置するのがコツです。)
自然に近い風をつくる事で、健全な株が出来ます。
◎遮光
温度調節と採光量調節の2つの目的があります。
木枠を屋根に並べたり、ガラスに石灰の液を塗装する方法もありますが、一般的には手軽さから市販されているダイオネットが普及しています種類も縞目や市松模様やすだれとかがあります。縞目は模様を南北にしないと、均等に採光が出来ません。細かいすだれは全体的に採光が弱いのでオススメできません。市松模様は、設置の方向がありませんし、他の模様と同一の遮光率でも比較的に明るく採光も出来オススメです
。私は真夏の戸外栽培でも45%の市松模様(色はシルバー)を使用しています。シルバーは、アブラムシの防止にも役立ちます。


<温度・採光・水編>
項          目 内            容
温度 それぞれのランに合った、温度の設定が必要です。カトレアやバンダ等は高温、シンビジュウムやデンドロビュウム等は低温にします。
温室とかの中でも場所によって多少の温度差がありますので、探してみてください。但し、採光も考慮しなければなりません。
夏:室内栽培 換気扇や攪拌用ファンの活用 シリンジやシャワーによる体温上昇の防止 夜間は地面へ散水します(日中は高温になる為、ランに直接水を掛けない)
冬:室内栽培 最低を15゜夜間は18゜以下、晴天時は換気扇や自動天窓の開閉・攪拌用ファンの活用による温度上昇防止と温度の均一化を図ります。
湿度 湿度はランにとっては命です。温室の中に水瓶を置いたり、加湿器等で湿度を保つようにします
共 通 特に冬場等の乾燥時は、シリンジ(梅雨期以外)や地面への散水をコマメにします。バスケットやヘゴ板に付けているものは、特にコマメにシリンジして下さい。
採光
(遮光)
それぞれのランに合った、採光の調節が必要です。デンドロビュウムやシンビジュウムは比較的直射日光を好みます。(遮光は真夏の一定期間だけです)
春・秋 温室の屋根に市松模様の45%で遮光 デンドロビュウムシンビジュウムは遮光しません。開閉が出来るようにセッティングします。
戸外栽培場は市松模様の45%で遮光(デンドロビュウム・シンビジュウムは真夏日のみ遮光
温室内のパフィオペディルム等の暑がりやランには室内外に市松模様で二重遮光
します。
パフィオペディルム・フラグミペディウムのみ市松模様の45%で遮光します。
その他のランは遮光しません。
コンポスト(植え込み材)が乾いてから、一日程度置いてたっぷりとやる。(地生ランでも常に湿った状態では根が腐ってくる)「たっぷり」とは、新しい酸素の供給も兼ねるのとコンポスト全体に水分が行き渡ること。回数を多くするより、一回の量を多くやる。
水遣りの周期は、コンポストの材質・鉢の種類・環境・生育状況等により異なってきますので、それぞれに合わせて決めて下さい。(一般家庭の室内栽培では、割り箸を鉢に刺して乾き具合を確認して、水遣りを調整する方法があります)
春・秋 週1〜2回程度を基本とし、乾き具合を見て調整します。
1〜3日に一回を基本としていますが、梅雨期とかは乾き具合を見て調整します。
一週間に一回 温風暖房なので、バスケット植えのバンダ等は一日数回程度の霧吹きを実施します。


<肥料編>
項        目 内         容
肥料は多くやり過ぎるより、少なく施肥する方が安心です。特に液肥は薄めにして、水遣りと兼ねてやった方がよい。
グリーンサムポット 完熟油粕の固形(新芽の伸び始め時)は月1回で取り替えます。
グリーンサムポット 薄い液肥(潅水を兼ねて、通常の2倍濃度で隔週)ミネハグリーン(活力剤)とランエキス(開花促進剤)を交互に使用します
グリーンサムポット 薄い液肥(潅水を兼ねて、通常の2倍濃度で隔週)ミネハグリーン(活力剤)とランエキス(開花促進剤)を交互に使用します
グリーンサムポット 薄い液肥(潅水を兼ねて、通常の2倍濃度で隔週)ミネハグリーン(活力剤)とランエキス(開花促進剤)を交互に使用します
グリーンサムポットは、固形の有機肥料です。植物にやさしいので年中鉢に置いています。3〜4カ月毎に施肥しています。(グリーンサムポットについてはここをクリック

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